そも彼等鼻行類は在る魔術師の一族が産み出したキメラ群であり、閉鎖された環境でどのような進化を遂げるかの為に生み出された存在であった。 そして、彼等は魔術師の望み通りに幾多の進化を遂げ故郷、ハイアイアイ群島で繁栄を遂げていく。 ……遂げすぎてしまった。 その余りの繁栄っぷりに彼等が海洋移動能力を手にして他の土地に迄流出し神秘の秘匿を破ってしまうことを恐れた魔術師は彼等を滅ぼしてしまう。 そして、彼等の存在は唯一の生き残りである彼を除き誰からも忘れ去られる筈だった。 此の事を知った魔術師の一族の一人が憐れみ架空の存在として彼等の事を書物に残し、世界中の多くの人々に彼等の存在は知られる事となる。 その本の名は『Bau und Leben der Rhinogradentia(鼻行類の構造と生活)』。 世に名高き生物系三大奇書の一角である。